待ち望んでいた出発の日、こころが晴れやかになるどころか、逆に曇っていた。原因はその、『ヨシュア』についてだった。

「『ヨシュアって誰よ』…か。」

自分自身が知りたいというのに聞かれても困る。ヨシュア、ヨシュア…今のところそんな知り合いいないはずだ。でも、聞き覚えのある名前、『ヨシュア』という名前を自分でも不思議なくらい愛しく思っている

(でも会ったことないのは確実だし…)

シェラザードにそのことを伝えていないのが何よりの証拠だ。もし子どものときに会っていたとしたら、自分はそのことをシェラザードに伝えていないはずがない。

物思いに耽りながら進む足取りは覚束ないものがあった。



夜、この時間帯にでれば丁度明け方にエレボニアの首都につく。そこで向こうの遊撃士と合流する予定だ。この時期は冬になり始めたということもあり、夜ともなれば多少の冷え込みは覚悟しておいたのだが、

「さすが、というべきなのかなー…」

多少の冷え込み、というにはあまりにも冷たい風だった。そんなに寒がりというわけでもないが、先日新調しスカートにしたせいか、多少寒さが身に堪える。

飛行船から降りて、待ち合わせ場所のエレボニアの遊撃士協会へと向かう。

向かっていた、はずたっだ。

「ひ、広すぎなんですけど…」

行けども行けども同じような通りばかり。さらに帝国ということもあり、妙な緊張感がエステルをさらに困惑させていた。

「人に聞くにも、帝国の人って妙な威圧感があるし。」

近くにあったベンチに腰を下ろすと、自然とため息が出た。よく考えたら、昨日の夜にシェラザードが来て以降、一睡も出来なかった。ここ最近はエレボニアに行く準備だったり、細々とした依頼も受けていたので、今になって疲れがどっと出てきたのだろう。

(やば…眠い。)

待ち合わせの時間がまだだとは言っても、異国のベンチで寝るのはいかがなものか。しかし、今までのツケを払わせるかのような深い眠りへの誘いに、抗うことなど出来なかった。






















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やっと旅立ちです。

ここはちょっと休み時間というか。かるく一休みです。








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