「―――あ」
目を開けると、木の天井が見える。
窓から入る光はもうすぐ夕暮れ時のものだった。
「起きたか。」
声のする方向を見ると、レオンハルトが居た。
「あ、れ。私―――」
起き上がろうとすると、身体の節々が痛い。筋肉痛?とも思ったが、この痛さはそれとは違うものだった。
「無理をするな。全身打ち付けられただけだが、身体、痛いだろう?」
もう少し寝ていろ、といわれて素直に横になる。
そこで、さっきまでのことを徐々に思い出し、最後に、
「レーヴェ!よ、ヨシュアは?!」
大きな声でそういうと、思いっきり顔をしかめられた。ぼそりと寝ていろと言っただろう、と声が聞こえたが気にしては居られない。あの打ちつけられたあと、かすかにヨシュアの声が聞こえたのだ。
「ヨシュアなら水を汲みに行くといっていたからな、もう戻ってくる。」
だから寝ておけ、そういわれて、ようやく落ち着くことが出来た。
(ヨシュア、大丈夫だったん だ…)
よかった、そう思った瞬間、エステルはベッドから落ちた。
「・・・・・・・・・・本当に遊撃士っていいたくなるね。」
起きた瞬間にベッドから転がり落ちるなんてどういう反射神経してるの、といわれたが、少女は言い返すこともしない。一言もしゃべらずに、ぶす、っとむくれた顔(+涙目)をして、落ちた時におでこに出来た傷の治療をされていた。
「はい、終わり。」
「…ありがと」
おでこをそっと触ると、ピリと痛みが走って顔をしかめてしまう。
「ヨシュア、エステルに文句を言いたいのは分かるがやめてやれ。
彼女だって図太そうに見えて案外か弱いかもしれない。」
レオンハルトが止めようとしてくれているが、どう聞いても止めようとしてくれている人間のセリフだとは思えない。ヨシュアは相変わらず呆れているみたいだった。
二人が話をしているので、エステルが気絶してから何がどうして自分がここに居るのか、聞いたまま整理していく。
エステルが気絶してから、ヨシュアはあの魔獣のコア、心臓部分を破壊したらしい。それから村までエステルを運んで、ジルにエステルを預け、レオンハルトをつれて襲われたところまで戻った。ところがそこには土から根が這い出した形跡などなく、争った形跡もない。かすかに燃えた木片だけが残っていたという。ちなみにコアの部分はヨシュアが持ち返っていたので、今は保管している。
(なんだったの、あれ―――)
見えない何かが、そっと足音を立てずに近づいている気がした。
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魔獣はヨシュアがおいしくいただk・・・倒しました。
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