その夜、ヨシュアは部屋で読みかけの本を読んでいた。この調子で読んでいったら今夜中には読み終わるだろう。そんなことを考えていたとき――。ぴくり。部屋の外から人の気配がした。気を研ぎ澄ませてみると、どうやら気配の主はエステルのようだった。何をやってるんだ…。そう思って、ドアを開けた。
「エステル…どうしたの?」
そう言ってエステルを見ると、まさか僕が出てくるとは思っていなかったのか、ひどく驚いた顔をして僕を見た。そして、少ししてから口を開いた。
「…部屋に入ってもいい?」
……は?
「入るねー!」
僕の思考が停止したのを了承ととったのか、エステルはずかずかと部屋に入っていった。これではダメだといえないじゃないか…。エステルは部屋に入って、ベッドに座って鼻歌を吹いている。エステルの横に座るわけにもいかず、僕は椅子に座った。
「それで何の用?」
僕がそう聞くとエステルは、ふっふっふ―と笑った。(あぁまた何か企んでいるんだろうか)
「はい!」
僕は綺麗に包装された箱見た。何がなんだか分からない。
「なにこれ?」
つい思ったことを口に出してしまった。
「開けてみて!」
エステルはにこにこしながらそんなことを言う。僕は包装を剥がし、箱の中身を取り出した。
「…写真立て…だよね。」
写真立ては決してかわいらしいものではなく、シンプルなものだった。
「この前撮った写真があったでしょ?それを飾るのにどうかな―と思って。…もしかしていらなかった?」
もしかして、僕へのプレゼント…なんだろうか。よく考えれば分かることなのに、そう考えるのを拒んでいた気がする。そういえば、今日の買物も僕を外に出そうと思ってくれたことだったのかもしれない。(結局、父さんのプレゼントは決まらなかったし)エステルのことだ。今日買物のことを思いついて、ただ実行しただけなんだろう…。そう考えていると、エステルが心配そうに僕の顔を見ていた。…このプレゼントのお礼を言わないとな。
「…いや。ありがとう。大切に使うよ。」
そういうと、エステルの顔は急に明るくなった。
「ほんと?!」
嘘な訳がない。僕は写真立てを持って、椅子から立ってエステルの横に座った。そしてゆっくりとエステルの方を向いて言った。
「うん。本当に…ありがとう。」
「んふふ―!どういたしまして!」
つい写真立てを持つ手に力が入る。
大切にしよう。今日という日の思い出と、この気持ちを…。
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↓おまけ☆
僕は写真立てを持って、椅子から立ってエステルの横に座った。そしてゆっくりとエステルの方を向いて言った。
「うん。本当に…ありがとう。」
「んふふ―!どういたしまして!」
つい写真立てを持つ手に力が入る。
「ぱきっ」
音のした方を見ると、写真立てにヒビが入っていた。
「…ッッ!ヨシュアのバカ━━━!!!」
ぱぁん、という平手うちのいい音が一階で酒盛りをしていた二人にも聞こえていた。
ヨシュアの握力はどれくらいなのだろう…。どっちにしても写真立てもろすぎですね(´∀`;)
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