長い髪をした俺が暗がりからじっと俺を見つめている。
感情のない、乾ききった視線。
何一つ伝えることのない無機質な、それでいて確かな意思を持つような瞳。
あいつはいつだって俺を見てる。
かつて自らがいた場所で笑う俺を何も言わずに見つめ続けている。
俺はそれが恐ろしかった。

初めてそれに気がついたとき、俺はただ恐怖にとらわれて目を背けることしか出来なかった。
置いてきてしまった自分を思い出してしまったんだ。
彼はまだ生きてる。あの場所で生きてる。
でも、迎えに行くことはもう無理だと、俺は知ってる。
だからめまいを覚えるほどの光を浴びて影を消そうとした。暗いところ全部なくしてしまえばあいつは消えるはずだと自分に言い聞かせた。消さないとあいつは自由になれないとか、自分勝手に納得しようとした。

ああ。やめて。
そんなはずないよと囁くのは誰だ。
ああ、ああ。ちがうんだ。
それも俺だ。僅か残されたあいつの一部が俺の中にいる。
そうじゃないよ。そんなはずないよ。
一部なんかじゃない。全部俺だ。俺は自分を引き千切っておいてきてしまった。あの紫色の空の下に寂しがりで泣き虫の俺を忘れてきてしまった。
うそつきだ。
届かない場所に自分で放り投げてしまったんだ。

俺が生きている限り、あいつは死ねない。生きることも出来ない。
喋ることも、怒ることも、泣くことも、全部俺が持ってきてしまったからあいつは黙って俺を見ていることしか出来ない。それは俺がそこに残してきたものだからだ。
俺はそれを置いてきた(捨ててきた)。
必要なはずだったのに、確かに手を繋いでいたのに、どうして俺は。

ああ、やめて。
ああ、ああ。ちがうんだ。
そうじゃないよ。そんなはずないよ。
うそつきだ。

(俺はうそつきだ)

置いていかれたのは俺だ。
戻れない場所にいるのは俺だ。
死ぬことも生きることも出来なくなってしまったのは俺だ。

光に消されるのは俺だ。

暗がりを振り返ったら、そいつと目が合った。
消えて行く俺を見て、そいつは笑ったんだ。

俺はまた、俺を殺してしまった。
(殺されてしまった)

あいつを救うまで、このゲームは終わらない。
そして俺はあと何度、俺を殺すのだろう。





リセットボタンに伸びた指





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アクゼリュスで分離したルークの復讐。
救えない…。
相変わらず意味不明ですみません。